太ったおばさんになりたい

町で溢れんばかりの脂肪を身に着けて歩いてる人を見ると心底羨ましいと思う。時間も気にせずおいしいものをたらふく食べてるんだろうな、さぞかし幸せなのだろうなと思う。しかしそうは言ってもこの世には安くて美味しいものがあふれている。私だって脂肪と引き換えに食べる幸せを手に入れようと思えば簡単にできる。そもそも私の胃袋はおそらく人より大きくて、どれだけ食べてもあまり満腹を感じない。そのため脂肪を蓄えるのなんて余裕である。でもできない。人の目を捨てて好きなだけ食べることができない。若いからだ。中高生の頃よりは多少ましになったとはいえまだ過剰な自意識が消えないのだ。あと普通に男の子からモテたい。だから太れない。空腹に耐えなくてはいけない。衝動的な食欲をこらえなくてはいけない。正直しんどい。だからはやくおばさんになりたい。できれば既婚。絶対的な愛を手に入れたうえで太りたい。これってわがままなのかな。もう未来の自分に期待するしかない。ここまで書いといてアレかもしれないけど町でヒョロッヒョロのおばさんを見かけたとしてもカッケェ…と思う。結局ただおばさんになりたいだけなのかもしれない。